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「リスニングパワー」の詳細レビュー

『30日間で英語初心者の耳が「英語耳」に変わる』
英語の音を聞き分ける能力をアップするユニークなコンセプトの教材




製作者の紹介

本教材の製作者である、スコット・ペリー(Perry Howard Scott)氏は
約 30年間、日本人に特化した英語発音の指導にあたり、
現在までに 2,000人以上の日本人に指導を行ってきています。

現在まで、多くの国際企業での発音指導や一般向けセミナー、ワークショップを行うほか、
ハリウッド映画界や日本のエンターテイメント界の第一線で活躍する俳優やシンガーなどへの
プライベート発音指導、発音コンサルタントなどを多く行っています。




教材概要

リスニングパワーリスニングパワーテキスト

マニュアル 1冊(全33ページ)
CD 2枚

特典

ボキャパワーボキャパワーテキスト

ボキャパワー:マニュアル 1冊(全109ページ) CD 2枚
スコットペリー氏の30日間メールサポート他



教材内容の解説

リスニングパワーがどのような教材か、ということを一言で言うと、
様々な効果音や音の対比を聞かせて、英語の音を耳になじませる教材
というような感じでしょうか。

トラックごとの細かいメニューについては、広告サイトにすべて記載されているので、
ここではあえて触れません。





CDの主な内容(パターン)をざっとカテゴリ分けすると、
以下のように区分できると思います。

CD1
・効果音のみ
・アルファベットやキーサウンド(主に母音のこと)単体の発音
・発音+効果音
・LとRなど英語同士の違い聴き分け
・カタカナ英語と英語の違い聴き分け
・和製英語と英語の違い聴き分け
・単体発音(リピート/エコー)
・発音バリエーション
・会話
・会話+効果音

以上のパターンがランダムな順番で再生されます。
一応、単音からフレーズ、そして会話に向かうような流れにはなっていますが、
正直言うと、順番については特に必然性を感じられません。

また、CDの冒頭にどのようなコンセプトの教材なのかという
ざっくりした説明がありますが、それ以降はトラックごとの説明はありません。
(単に音を聞くだけでスキルが上がるので問題ないと考えているのかもしれませんが)


CD2

CD1の一部とほぼ同じような内容ですが、
スピードを速くするなど難易度が上がっています。

なお、一番最後に「特典」のはずの「ナチュラルスピード」が収録されており、
テキスト自体もリスニングパワーのテキストの最後に印刷されています。
ナチュラルスピード




微妙ポイント


効果に対する科学的な根拠がはっきりしない

別記事で詳細について書いていますが、以下に対する科学的な根拠が示されていません。

・電子音の効果音がどのように「英語耳」を作るのに役立つのか
・人間の声が出せない領域の音も効果音として入れている理由
・この効果音等について研究している研究や研究者などがいない


他の教材の流用部分がある

CD2の最後のほうに収録されているシチュエーショントークは、
なんと「スコットペリーの発音大学」のDVD1に収録されている
トークの一部がそのまま流用されていました。


テキストのクオリティが低い

音声とテキストの記載順が一部逆になっていたり、
音声にあるフレーズがテキストに載っていたり、載っていなかったりなど
統一されていません。

例:似たような音の聴き分けのトラック

テキストの記述順 実際の音声順
Thing Sing Sing Thing
Eat It It Eat
Woman Women Women Woman


サポートが微妙

製作者であるスコットペリー氏の30日間メールサポートを受けられます。

ただし、広告ページには書いていないのですが、
質問は「英語で」しなければなりません。

リスニングパワーのサポート

この教材は主に英語のリスニング力をアップするための商品です。そのため、英語でスムーズに質問できる人が、この商品を購入する確率はそう高くはないと思います。

そういう意味では、このサポートの方針は親切とは言えません。



なお、スコットペリー氏にメールをしたところ、きちんと翌日には返事が来ました。

ただ、次に追加質問をしたときには、何日も返信がなく、
催促してようやく返事がきました。

回答は微妙でしたが(詳細は下に紹介しています)、
一応サポート自体はきちんとしてくれるようです。



一方、同日に同じく教材の内容について販売者に問い合わせたのですが、
一向に返事が来ませんでした。

仕方がないので催促もしましたが、未だに返信はありません。


独自調査の結果

英語の音と耳になじませるために収録されている
英語とカタカナ英語の比較
英語の似たような音の比較
などのワークは、英語の音を適切に認識するために、非常に有効だと感じました。



ただ、英語の音自体は可聴域の音なので、
「物理的に聞き取れない」訳ではありません。

それを「聞き取れる」ようにするために取り入れている
効果音等の実際の効果や取り入れた理論などの背景について疑問に感じたため、
せっかくのサポートを活用し、スコットペリー氏に問い合わせてみました。

すると、各質問に対しては以下のような回答をもらいました。
(以下はポイントとなる箇所だけを抜粋しています。詳細はこちらのページを参照してください。)

Q:電子音の効果音がどのように「英語耳」を作るのに役立つのでしょうか?
A:「残念ながら、その質問には答えられません。」

Q:人間の声が出せない領域の音も効果音として入れている理由はなんですか?
A:「残念ながら、その質問には答えられません。」

Q:この効果音がもたらす効果等について研究している研究者や研究結果などはありますか?
A:「他に研究している人は知りません。」

とのことでした。

質問の詳細を記載したページにも書いていますが、根拠となるアイディアはあるようなのですが、科学的にどういう根拠があるかというところまでは残念ながら明確になりませんでした。




総評

「リスニング能力」というものは、主に以下の2つのスキルに分けられると思います。

 1.音自体を聞き分ける能力
 2.意味を理解する能力

リスニングパワーはこの2つの内、1.のスキルのみにフォーカスしています。

もちろん、前述のとおり、明確な効果があると思われる点はあり、
以下の点については評価できます。

 ・英語の音を繰り返し聞いて、普段聞きなれない英語の音を耳になじませる
 ・日本語や他の英語の発音との違いを聞き分けることで、英語の正しい音を認識させる

ただ、それ以上の効果はあまり期待できないと思います。

なぜなら、特定の「キーサウンド=(日本語と違う)英語の音」と認識できたところで、
その言葉の意味が分からなければ、「英語のリスニングできる」とは言えないからです。

そういった観点で見ると、ごく限定されたスキルの向上のため「だけ」に購入するには、
あまりコストパフォーマンスがいいとは言えません。

もし正しい英語の音を認識できるようになりたいのであれば、
英語の発音練習を行うほうが効率がいいと思います。
発音と音を認識する作業の両方を同時進行で行えます。

同じスコットペリー氏のメソッドを用いた教材であれば、
中級者以上限定ですが、「スコットペリーの発音大学」をおすすめします。

また、リスニング自体を学びたいのであれば、
アルクの「1000時間ヒアリングマラソン」を強くおすすめします。

公開日:
最終更新日:2015/12/21